LE MORETTE / レ モレッテ
優雅なバカンスをドレスアップ
モードの街ミラノから車で約2時間、イタリア最大の湖ガルダ湖は、ミラネーゼの避暑地として人気のアドレスだ。湖水巡りの拠点となるシルミオーネの街には中世の街並みが残り、エメラルドグリーンに輝く湖畔には瀟洒なヴィラ(別荘)が点在する。おしゃれなミラネーゼの週末プチバカンスには最高の立地で、ヴェローナやヴェネツィアからも日帰り圏。紀元前から続く温泉保養地として、かつては貴族を、今ではマリア・カラスをはじめとする世界の著名人を魅了し続けている。
セレブやファッショニスタが集まる街には、おしゃれなレストランが欠かせない。湖でとれたばかりの新鮮な魚料理には、もちろん地元の白ワイン。レ・モレッテは、そんなシチュエーションにぴったりのワインだ。
上品なシトラスのアロマと、じんわり染み入る旨味の余韻が、もう一口、もう一杯とワインを誘い、グラスが止まらない。どんな時に飲んでもおいしいし、毎日飲んでも飽きない。決して暑苦しくなく、まさに湖を渡る風のように涼しげで優雅、澄んだ湖水のように深淵なたたずまいは、どこかシルミオーネのイメージに重なる。
心地よい潮風が育む心地よいワイン
レ・モレッテがあるルガーナDOCは、ガルダ湖南側のロンバルディア州とヴェネト州の2州にまたがる産地だ。小さなエリアにも関わらず、ロンバルディアでは最古のDOC(原産地呼称)でもある。つまり、昔からこの地のポテンシャルが評価されていたってこと。
ちょっと専門的な話になってしまうが、ワイン用ぶどうの栽培には、標高が高く、斜面の畑がいいというのが定説だ。でも、レ・モレッテの畑は海抜数メートルの平地にある。それなのに、どうしてこんなにも奥行きあるワインができるのだろう?
答えは、ガルダ湖からの距離にあった。畑は、ほかのどのワイナリーよりもガルダ湖に近い。湖からそよそよと吹き抜ける心地よい潮風を浴びてストレスフリーに育ったぶどうが、伸びやかで心地よいワインになるのは自然の摂理。ミネラル豊富な土壌由来のかすかな塩味に、母なる大地と湖の恵みを感じる。
だからこそ、レ・モレッテは自然へのリスペクトを忘れない。ワイナリーの名前も、毎年湖に訪れる渡り鳥の名前からとった。野鳥は環境や自然にとても敏感なので、少しでも変化を感じたら、決してその地を再訪することはない。レ・モレッテが誇り高くエチケットに野鳥の姿を刻むのは、環境に配慮したワイン造りに対する堅固な信念の表れだ。
熱い思いとクールな味わい
オーナーのファビオは、イタリアにおけるぶどうの苗木研究にも多大な貢献を果たしたインテリだが、ここだけの話、実は相当の曲者でもある。コーディネーターを相手にどっきりカメラをしかけたり、レストランやホテルで気に入らないことがあるとシニカルに持論を述べたりと、なかなかにキャラが立ったオヤジなのだが、ひとたびワインについて語りだしたら、もう止まらない。パッションのすべてを自らのワインとルガーナの未来に賭けている。
そんな彼でも唯一頭が上がらないのが、アモーレ(奥さま)。時にはアモーレのための買い物のほうがクライアント向けのイベントより大事だったりするから、イタリアおやじはあなどれない。でも、そんな彼にしか造り出せないスタイリッシュなルガーナもまた、一目惚れならぬ一口ぼれするほどのクオリティなのだから、イタリアおやじはやっぱりあなどれない。3 商品