ワイナリー訪問記:2023年夏 サン・レオナルド Part3

サン・レオナルド(San Leonardo)編 最終回となるPart3では、サン・レオナルドのワインについてご紹介します。
Part1(サン・レオナルドの歴史)
Part2(畑、醸造)



サン・レオナルドの各ワインについて

自社所有のぶどう畑30ha(+借りているValle de Cembraの畑)に対して、生産本数は約30万本。そのうち大部分は「サン・レオナルド」です。


Vette(ヴェッテ ディ サン・レオナルド) 
Vette は「山の頂上」という意味です。

【品種】
ソーヴィニョン 100%
【畑】
トレンティーノ州の北にある
Valle de Cembraの畑でとれたブドウを使用。標高は350~450m。土壌は赤石(斑岩:Porphyry)を含む石灰質。
【醸造】
ステンレス発酵、5か月間シュールリーを行っています。

Riesling(リースリング) 
このリースリングはRiesling Italico(イタリアではほとんどがこの品種)ではなく、ドイツ・モーゼルのリースリングで、Riesling Italicoとは大きく異なります。おそらくドイツ、オーストリアから持ち込まれたのではと推測されます。
1970年代までサン・
レオナルドの畑で栽培していましたが、Valle de Cembraの畑に移し栽培を再開しました。ファーストヴィンテージは2013年。

【品種】
リースリング 100%
【畑】
Valle de CembraにあるFaedo村の畑でとれたブドウを使用。標高は 450m~。土壌は鉄を含む粘土質。
【醸造】
ステンレスタンクで発酵後、1000L のオーク樽で熟成します。

垂直方向のしっかりとした酸があります。オーク樽は使用した樽を使うことでバニラのニュアンスをほのかに感じ、ワインにストラクチャーを与えます。

Terre(テッレ ディ サン・レオナルド) 
サン・
レオナルドのセカンドワインという位置づけ。当初は「サン・レオナルド」を造れない年に造っていましたが、2005年以降毎年造られています。
若々しく手ごろな価格で幅広い人々に楽しんでほしいワインです。

【品種】
カベルネソーヴィニヨン 50%
メルロー 40%
カルメネーレ 10%
【醸造】
セメントタンクで発酵し、10~12か月間トノーで熟成。1月にボトリング。

Villa Gresti(ヴィッラ グレスティ) 
「メルロー嫌いの人に飲んでほしいメルロー」
まろやかで無個性なメルローではなく、非常に特徴のあるメルローです。スムースでやわらかいメルローにカルメネーレのスパイスが調和しています。

【品種】
メルロー 90%
カルメネーレ 10%
【醸造】
セメントタンクで発酵後、18か月間新樽バリックで熟成。

San Leonardo(サン・レオナルド) 
【品種】
カベルネソーヴィニヨン 60%
カルメネーレ 30%
メルロー 10%
【醸造】
品種・区画ごとにセメントタンクで発酵、20~24か月バリックで熟成、その後セメントタンクでブレンドし、瓶内で24か月間熟成。

セレクション・マサール(1つの区画に複数の種類のクローンを存在させる栽培方法)を取り入れています。
毎年12月にカルロ・フェリーニがワイナリーにて発酵が終わったキュヴェをテイスティングし、ブレンドを決めます。大体は古樹の区画のワインが使われます。

Carmenere(カルメネーレ) 
【品種】
カルメネーレ 100%
畑の中で最も古樹(45年以上)
【醸造】
セメントタンクで発酵後、バリック(半分が新樽)で24か月間熟成。

1990年代までカルメネーレではなくカベルネフランだと思って栽培していたそう。樹を増やそうとフランスからカベルネフランの苗木を買ってきたときに品種が異なることに気付き、栽培していたのはカルメネーレだったと気づいたとのことです。このカルメネーレはおそらく、フランスがフィロキセラ(害虫)にあった際にぶどうの樹を救うためにここに持ち込まれたのではと推測されます。
100%カルメネーレのこのワインは 2007年から造られています。



サン・レオナルドの赤ワインにおける共通点
①すべてのワインは16℃でサーブする
②アルコール度数はすべて13%
③すべてに10%のカルメネーレをブレンド。必ずブレンドすることで、これがサン・レオナルドの個性になります。

各ワインに合わせる料理
様々な料理があるので、あまり細かい料理の推奨はしていないとのことですが、基本的には
・Vette-魚(生でも火を入れたものでも)、野菜料理
・Terre-白身の肉
・Villa Gresti-グリルした肉
・San Leonard-ボッリート、Tボーンステーキなどの肉料理、チーズ(この土地のトレンティングラナ=山のパルミジャーノレッジャーノなど)

おわりに
アンセルモ氏より「私たちはワイナリーの説明をする際、絶対に第一人称の「私」という言葉を使わない。常に「私たち」だ。私たちはチームで活動しており、実績はすべてこのチームによるもの。かつて昔「私」を使った際に父 カルロにものすごく強く殴られた。一人ではなくチームで成し遂げたものだと。チームは家族であり財産だ。」という話が印象的でした。
アンセルモ氏の物腰の柔らかな雰囲気と実直なスタイルのワインは、貴族の華々しい印象とは違い、経営難を乗り越え血のにじむような努力により築きあげられたものなのだと実感しました。



ここまでお読みいただきありがとうございました!
今後もワイナリーの生きた情報をお届けしてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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