ワイナリー訪問記:2023年夏 サン・レオナルド Part2

前回に引き続き、イタリアはトレンティーノ・アルトアディジェ州にある、サン・レオナルド(San Leonardo)編です。
Part2ではサン・レオナルドの畑と醸造についてご紹介します。
Part1はこちらから

サン・レオナルドの畑

300haもの山を含む広大な土地を所有し、そのうちぶどう畑は30ha。所有する区画の大半は自然が残る森林で、野生の動物が生息し、多様な生物が生息するよう管理しています。この山にはアルプス山脈に生息する花の種類の6割が存在する多様な自然があります。ぶどう畑はこの大自然の山々の恩恵を受けています。

畑ではビオディナミ農法を取り入れ、オーガニック認証を取得、そして最近では最も取得が難しいと言われるEQUALITASの認証を取得しました。これは栽培だけでなく環境的、経済的、社会的にサステイナブルである証明です。


畑には常に風が吹き、日中は湿度が低く暖かく、夜は山から冷たい風が吹く地中海性と高山性の気候です。
砂質土壌で、標高の低いエリアは小石が多くメルローを栽培しています。高いエリアは完全な砂質でカベルネソーヴィニョンとカルメネーレを栽培しています。ワイナリーから森林に向かっては斜面になっており、コルドン、グイヨ―、ぺルゴラ仕立てを品種、土壌に合わせて取り入れています。
基本的にはカベルネソーヴィニョンはグイヨ―仕立て*、一部の古樹のカルメネーレはぺルゴラ仕立て**を用いています。

*グイヨー仕立て:世界的に最もメジャーなワイン用のブドウの樹の仕立て方で、垣根の様に平べったく仕立てる。
**ペルゴラ仕立て:高い位置に棚を作り、そこにブドウの樹を誘引して成長させる。ブドウの実を強い日照から守れる利点がある。

一方で、ソーヴィニョンとラグレインは同州のより北かつ標高の高い場所にある Valle di Cembra(ヴァル・ディ・チェンブラ)で栽培されています(Avioから70~80km北)。この畑は借りている畑ですが、管理はすべてサンレオナルドにて行われています。また、これらのワインの醸造も隣接するワイナリーを借りて行われています。


古樹のペルゴラ仕立てのカルメネーレ


グイヨー仕立てのカベルネソーヴィニヨン


カベルネソーヴィニヨンの畑 砂質に小石が混じっている


ワイナリーを見下ろす西向きの畑

雑草は1列おきに取り、様々な種類の草、花を畑に残すようにしています。
収穫は9月10日から10月10日の間に行われます。

〈Villa Gresti〉

1870年に建てられたGemma di Grestiに捧げる家で、現在はアンセルモ氏一家と父 カルロ氏が住んでいます。
家の前には美しい庭園が広がっています。

醸造
サン・レオナルドのワイナリーでは、赤ワインのみの醸造・熟成が行われます(白およびロゼはチェンブラのセラーにて行われます)。赤ワインはすべて同じ醸造方法が用いられます。
発酵槽がある地下室では、温度管理はしていないが完璧な温度に保たれており、発酵にはコンクリートタンク(セメントタンク)を用いています。ステンレスタンクではタンニンに苦味が出るのに対して、セメントタンクでは繊細な甘いタンニンが抽出できるからです。
発酵槽は1920年から100年以上使い続けていますが、2017年、この発酵槽のひとつが割れ、7000リットルものトップキュヴェ「サン・レオナルド」を失うという事故がありました。
自然酵母のみで発酵し、発酵日数は15日間ほど、フィルターは行われません。


100年以上使っているセメント槽


発酵槽のある地下室へ続く通路


発酵槽の部屋はタンクがあるのみ


1982年のサン・レオナルド

熟成をしている地下室には、古いヴィンテージのボトルが熟成されています。あるボトルのひとつを押すと、熟成樽のある部屋に続く隠し扉が開く仕組みになっています。熟成庫も温度管理はしておらず、現在650個のバリックがあります。
バリックは5~6年使用。すべてフレンチオークでブルゴーニュ、ボルドーから購入しており、中にはロマネコンティが使用しているものと同じバリックもあります。



ボトリングやラベル貼り、ラッピングを行い、出荷前のワインを保管する場所

次回Part3はサン・レオナルドのワインについてのお話です。
Part3はこちら

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