CAIAROSSA / カイアロッサ
豪快な肉料理に合わせたい
がっつり肉を食べたい時は、骨付きに限る。たとえば、Tボーンステーキ。迫力満点のボリュームと、噛むほどにあふれる肉汁を想像するだけで、狩猟本能がくすぐられてもうたまらない。そんなキング・オブ・ステーキにはやっぱり、赤ワイン。しかも、思いっきり濃厚な奴がいい。だが、王道のボルドーや、ステーキハウスの定番カリフォルニアでは、ちょっとつまらないかも…。同じカベルネ・ソーヴィニヨンを使ったワインなら、トスカーナでフランス人が造るワイン「カイアロッサ」はどうだろう?
イタリア料理と聞いてステーキを思い浮かべる人は、そう多くない。だが、トスカーナが誇る高級ブランド牛キアニーナを炭火で焼き上げたTボーンステーキ「ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ」は、州都フィレンツェを代表する一皿だ。豪快な肉料理とトスカーナワインは、メディチ家が栄華を誇った時代から変わらぬテッパンコンビ。カベルネ・ソーヴィニヨンだけでなく、イタリア品種やボルドー品種がブレンドされたカイアロッサなら、直球で味わう肉の旨味にめくるめく重層的なハーモニーを添えてくれるだろう。
「イタリアにもフランスにもないワイン」
ルネッサンス発祥の地として知られるトスカーナは、イタリアワインの歴史を大きく変えた「ワインルネッサンス」発祥の地でもある。80年代には、「法律や格付けに縛られず、本当に旨いワインを造ろうぜ」と、アウトローな作り手が続々と誕生。自由な発想が生み出すモダンなスタイルのワインは「スーパータスカン」(タスカン=トスカーナ)として、世界に名を馳せた。
「カイアロッサ」も、「スーパータスカン」の新星としてデビューしてから数年で、評価が急上昇(ついでに価格も急上昇!)。漫画「神の雫」にも登場したボルドーの老舗シャトー「ジスクール」のオーナーが、2004年から采配を振るう。「イタリアにもフランスにもないワインを造ろう」と、国際品種から土着品種まで、11ものぶどう品種を植樹した。ボルドーの伝統技「アッサンブラージュ」(複数の品種を組み合わせること)を駆使した緻密なバランスはさすがの一言。ボルドーのフィネスとトスカーナのテロワールが見事に調和している。
スピリチャルな一面も
ワイナリーの構想には、風水と地球力学を取り入れた。深い森に囲まれたワイナリーの外装は、強さと情熱と集中の象徴である深紅。内装は、天然光を取り入れる鮮やかな黄色。ぶどう栽培は、宇宙と月の周期に従って行うビオディナミ農法で、殺虫剤や化学肥料の代わりに、カモミールなどの植物から抽出した調合剤を使用する。プリミティブでスピリチャルな一面を持ちながらも、その造りは緻密。でも、ガチガチに固まったボルドーのスタイルをはるかに超えた、イタリア由来の自由さと楽しさが感じられる。宇宙と自然の摂理、そしてイタリアとフランスのクロスカルチャーが生み出した壮大なスケールの味わいを、ぜひ体験してほしい。3 商品